医療×ITの資格!医療情報技師の試験概要、キャリアの可能性を完全解説

医療情報技師 医療情報技師
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医療とITの架け橋になれる存在「医療情報技師」

その重要性が増す中、資格に興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

医療情報技師ってどんな資格なんだろう。誰でも受験できるのかな。

取得してメリットはある?といった疑問をお持ちの方もいるのではありませんか。

この記事の内容

  • 医療情報技師はどんな資格か
  • 医療情報技師を取得するメリットと将来性
  • 医療情報技師に合格した後の展望

現役医療事務講師のすずきです。

現在も医療機関での仕事に携わりながら講師をしています。

第22回医療情報技師認定試験に初受験&独学で合格してきました。

医療情報技師は独学でも十分合格を目指せる資格です!

本記事では、試験の概要、更にキャリアの可能性を解説します。

医療情報技師への第一歩を、この記事と一緒に踏み出しましょう!

医療情報技師とは?

医療DX

医療情報技師の役割と仕事内容

医療情報システムの導入や運用、またこれからの時代に重要になる医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)のための情報基盤づくりやサイバーセキュリティ対策のために有用な資格です。

医療従事者とシステムエンジニアが病院等で医療情報システムに関する議論をするには、「医学・医療」「情報処理技術」「医療情報システム」から成る3つの領域の知識・技術、および「communication」「coordination」「collaboration」の3Cの資質を共通にもっておくことが必要であると私たちは考えています。

また、医療情報システムの運用においては、厚生労働省が示している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインなどの法令を正しく理解、適用することが求められます。

医療情報技師は、これらの能力を有することを証明する資格です。

出典:医療情報技師育成部会

医療情報技師は、医療と情報技術の専門知識を活かし、医療現場での情報管理やシステム運用を担う専門家です。

現代の医療現場は電子カルテや医療データベースなどITシステムが欠かせない存在となっており、医療情報技師はそれらを効率的かつ安全に活用するための重要な役割を果たすでしょう。

具体的な仕事内容は、働く職場や役職によって異なりますが、

新しい医療システムの検討、導入、スタッフへの使い方説明

ソフトウェアやハードウェアのトラブルシューティング

医療データのセキュリティ管理と保護

これらがメインとなることが多い印象です。

資格取得のメリットと将来性

医療情報技師の資格は、医療とITの両分野に精通する専門家として、現代の医療現場で非常に重要な役割を担うことができます。

資格取得にはさまざまなメリットがあり、将来性も期待できます。

専門性が高まり、医療業界での評価が向上

医療情報技師の資格を取得することで、医療現場で必要な情報技術に関する知識やスキルが証明されます。

医療に関わる多くの組織で重宝される存在となるため、業界内での信頼度や評価が高まります。

就職・転職に有利

医療情報技師の資格は筆者の周囲には取得者がおらず、

まだ知名度は低い印象もあります。

しかし、医療DXに力を入れている現状では、医療業界だけでなく電子カルテなどのシステムを取り扱う企業の求人においても今後高く評価されることが期待できます。

持っている人がまだ少ない状況であれば、興味をもってもらえるきっかけにもなるでしょう。

医療業界のIT化が進む中でのニーズ拡大

医療現場でのITシステムの導入が進んでおり、今後もその傾向は加速することが予想されます。

特に、電子カルテや医療画像管理システム、患者データの解析など、医療とITの融合が進む中で、医療情報技師のニーズはますます高まるでしょう。

今後も医療機関がIT技術を活用する場面が増えていくため、資格を持っていることは大きな強みになります。

予測される人材不足

医療情報技師は、技術的な知識とともに、医療現場の業務理解も必要なため、他のIT職種と比べて専門性が求められます。

そのため、現在も医療機関でこの職種に携わる人材は不足しており、将来的にはさらに人手不足が深刻化する可能性があります。

このことから、医療情報技師の資格を持っていることは、ますます需要が高まるスキルとなりうる存在です。

高齢化社会とデジタルヘルスの拡大

日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者向けの医療サービスや介護サービスが増加しています。

その中で、デジタルヘルスケア(遠隔診療や健康管理アプリなど)の需要が高まっており、医療情報技師の役割がさらに拡大しています。

将来的には、IT技術を駆使して高齢者医療の効率化や質の向上に貢献するチャンスが増えることも期待できます。

他の医療IT関連資格との違い

医療情報技師と他の医療IT関連資格の最大の違いは、その業務範囲と役割にあります。

医療情報技師は、医療現場のITシステムの管理運用や医療データのセキュリティ管理に焦点をあて、医療機関内での日々の運用サポートを行います。

医療とITの知識を融合させた業務全般に対応できる資格です。

また、医療事務や診療情報管理士は医療情報技師ほどITシステムの運用管理には関与しません。

医療情報技師試験について

勉強

試験の概要

 医療情報技師能力検定試験は、1)情報処理技術の業務改善への活用を担える、2)医療情報の安全で適切な管理を担える、3)診療データの利活用を担える人材として必要な一定の知識・技術を有していることを試験によって評価するものです。病院・診療所の医療情報部門に従事される方や、診療科・中央診療部門において医療情報を担当する方、企業等において医療情報システムを担当する方にお勧めの試験です。

出典:医療情報技師育成部会 医療情報技師能力検定試験

受検資格

受検のための資格は問いません

試験実施時期・試験会場

毎年8月下旬(年1回)

全国13会場(北海道 宮城県 東京都 新潟県 石川県 愛知県 大阪府 岡山県 広島県 香川県 福岡県 鹿児島県 沖縄県)

試験方法・受検科目・試験時間・合格基準

マークシート方式による多肢選択試験

医学・医療系(50問、60分)・情報処理技術系(50問、60分)・医療情報システム系(60問、90分)

合格基準は各分野での基準点を満たし、かつ総合で一定以上の得点を取得することとされており、

年度によって若干の違いはあります。

だいたい60%~70%ほどのようです。

試験内容

「医療情報 医学・医療編」、「医療情報 情報処理技術編」、「医療情報 医療情報システム編」(篠原出版新社)の内容から主に出題。

ただし、医療制度の改正や情報技術の発展の動向など、医療情報技師として知っておくべき事柄については、教科書に記載がなくても出題することがあり。

また、科目合格制度を採用しており、合格判定となった科目は2年間有効となります。

受験料(2024年11月時点)

15,000円(税込)

科目合格がある場合は13,000円(税込)

試験の合格率と難易度

医療情報技師の過去の合格率は年によって異なりますが、約30~40%程度です。

過去の主な合格率の推移(過去2年間の科目合格で合格となった者も含む)

2024年 合格率 約37.4%

2023年 合格率 約36.4%

2022年 合格率 約34.2%

また、3科目同時合格ではもう少し合格率は下がります。

医学と情報の分野から構成されるため、

難易度は高い試験と言えるでしょう。

更新制の資格です※注意

医療情報技師は更新制となり、

有効期限は認定日から5年です。

更新には次のような条件があります。

  • 有効期間内に資格更新ポイント(50ポイント以上)の取得
  • 生涯研修セミナーの受講(有効期間内に1回以上)
  • 申請書類の提出と更新手数料10,000円(税込)の振込

資格更新ポイントは関連学会などの出席・e-Learningの受講でつきます。

一つ一つは1~5ポイントのものが多いため、

5年間の間に定期的な出席・受講が求められます。

認定されると定期的に受講の案内がくるので、

早めに受講できるものは受講しておきましょう。

試験の出題科目と構成

医療情報技師試験は、以下の3つの大きな科目群に分かれています。

それぞれ、医療情報に関連する専門知識を網羅するように設計されています。

医学・医療分野

  • 医学の基礎知識:解剖学・生理学、 人体の構造や機能に関する基本的な知識
  • 医療制度・政策:医療保険制度、個人情報保護法、医療安全管理など
  • 医療現場の理解:医療行為の流れ、診断や治療に使用する機器の基礎

情報処理分野

  • 情報技術の基礎:TCP/IP、LAN/WAN、通信プロトコル
  • プログラミング・データベース:ソートや検索、効率的なデータ管理
  • セキュリティ技術:情報漏洩対策、暗号化技術
  • システム設計・運用管理:ITIL、障害対応、システム監査

医療情報システム分野

  • 電子カルテ:実際の医療機関で使用される電子カルテの運用方法
  • 医療情報の標準化:HL7、DICOM、SNOMEDなどの国際標準規格
  • データ管理と分析: 医療統計やデータマイニング技術
  • 医療情報の運用・安全管理:医療情報システムのトラブル防止やリスク管理

参考:医療情報技師育成部会 医療情報技師到達目標

独学で挑むための準備

医療やIT未経験でも挑戦できる?

結論、可能です!

「医療情報技師試験は医療やITの経験がないと無理なのでは?」と思っていませんか?結論から言えば、未経験者でも十分合格可能です。

未経験でも挑戦できる理由をあげていきます。

試験は基礎的な知識が中心

医療情報技師試験は、専門的な分野にまたがる試験ですが、内容は基礎的な知識が多く含まれています。

医学・医療分野では医療従事者が日常的に使う高度な専門知識というより、医療制度や医療機器の仕組み、人体の基本的な知識が問われます。

IT分野も、プログラミングの高度なスキルよりも、ネットワークやデータベースの基本が中心です。

公式の参考書や過去問が一般に販売されている

医療情報技師試験には、公式テキストや試験に対応した過去問題集が存在します。

これらの教材を活用すれば、独学でも効率よく勉強を進められます。

試験範囲が明確

試験範囲は明確に定められており、出題傾向も過去問を分析すれば見えてきます。

これは、独学で学習計画を立てる上で大きなメリットです。

合格後のキャリア展望

医療情報技師に合格したらどのような場面で生かすことができるのかを解説します。

資格取得後にできる仕事の例

医療機関の情報システム部門

医療機関の情報システムを管理・運用を行う部門です。

主な業務は次のような内容です。

  • 電子カルテや医療情報システムの導入・運用サポート
  • システムトラブルへの対応
  • データセキュリティの管理

ヘルスケアIT企業

医療機器メーカーや医療ソフトウェアを開発する企業でも活躍できます。

主な業務は次のような内容です。

  • 電子カルテなどの開発・販売
  • 医療機関向けのソフトウェア開発やテクニカルサポート
  • 医療機関へのシステム提案・導入支援

医療情報技師としてのスキルアップ方法

資格は取得して終わりではなく、取得後の展望も気になるところかと思います。

医療情報技師を取得した後のスキルアップする方法もあげていきましょう。

上位資格の取得

医療情報技師の資格を取得した後は上位資格である、上級医療情報技師を目指すことも可能です。

専門性をさらに深め、管理職ポジションを目指せます。

また、医療関係だけではなく様々なIT系資格にも挑戦し、IT技術者としての価値を向上させることも可能です。

知識を拡げる学習

医療とITはどちらも進化していく分野です。

データ分析(PythonやExcelを活用したデータ解析スキルなど)やAIを学習することで知識の幅も拡げていくことができます。

医療機関では様々なデータをとることができますので、

経営にも役立つデータの分析なども行うことが可能となります。

資格が役立つ具体的なシーン

電子カルテの導入プロジェクト

医療機関で新たに電子カルテシステムを導入する際、現場スタッフの意見を反映したシステム設計、現場と開発会社をつなぐ橋渡し役として医療情報技師は重要な役割を果たすことができます。

医療データの安全管理

情報セキュリティの観点から、患者情報を保護する役割も重要です。

不正アクセスを防ぐセキュリティ対策の提案・実施はもちろん、

定期的なシステム監査や改善提案も行っていく必要があります。

経営改善のためのデータ活用

医療機関の経営に貢献するため、医療データを活用した提案が求められるシーンもあるでしょう。

診療データを分析し、効率的な運用方法を提案したり、患者満足度の向上につながるサービスの導入について他部門とも連携していく存在になれます。

まとめ

医療DX医療×ITの資格である医療情報技師は、

今後のキャリアアップだけでなく知識を拡げていくこともできる将来性のある資格です。

活かせる場所も医療機関だけではなく、

IT企業などで関連ソフトの開発に携わったりすることも可能になります。

医療情報技師は、技術的な知識とともに、医療現場の業務理解も必要なため、他のIT職種と比べて専門性が求められるため、

将来的には人手不足が深刻化する可能性があります。

医療情報技師は、ますます需要が高まる存在です。

公式テキストは書店等で購入でき、

受験資格もありません。

筆者も独学で合格しましたので、是非医療情報技師への第一歩を、この記事と一緒に踏み出しましょう!

参考:医療情報技師育成部会HP

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